映画で出会う“清々しい七人の女性”

 

今回は、面白い映画を7本紹介します。
 男社会の暴力性には、恐怖と同時に怒りも感じています。ところが、そのような男社会を是認している男に、もたれ掛かったり、へばりついてりして生きている女性が少なくはない様です。そういう女性を目にした時は、情けない気持ちで一杯になります。
 こういう気持ちの分かる方にお薦めしたいのが、以下に紹介する7本の映画です。
 僕はこれらの映画を観ることによって、暴力に頼らない方法で、暴力を大きな柱とした男社会に風穴をあけることが出来そうだ、と思うようになりました。
 では、座り心地のよい椅子に座って、部屋を暗くして、“清々しい七人の女性”に出会ってください。

 

 

『ガープの世界』  (監督:ジョージ・ロイ・ヒル ’82)
名女優グレン・クローズの演じる、ガープの母の生き方が面白い。“自分の人生の主役は自分なんだ”ということをストレートに教えてくれる。


『カントリー』  (監督:リチャード・ピアース ’84)
農業経営の危機に直面したアイオワ州の農家の話。頼りにならない夫を見切り、“守るべきものを持つ者は、それを守る努力をし続けるしかないのだ”、と立ち上がる妻のたくましさが清々しい。

心の旅路』  (監督:マービン・ルロイ ’47)
恋愛映画のベストワン。[何が何でも相手を得ることである]と思っている人は、生涯、恋愛など出来ない。そのことを、この映画のヒロインは教えてくれる。“恋愛の目的は、愛を得ることなのだ”と。“愛を得るためには、努力だけでなく、潔さも必要なのだ”と。

旅する女/シャーリー・バレンタイン』  (監督:ルイス・ギルバード ’89)
平凡な中年の主婦が、自らの人生を振り返る。エイッ、と旅に出る。アバンチュールを経験する。そして自分の人生に欠けていたものに気が付くのだ。“色恋よりも大切なものが人生にはある。それは自由であることだ。妻であろうが、母であろうが、人間である限り自由であるべきだ”

追憶』  (監督:シドニー・ポラック ’73)
不器用なヒロインが真っ直ぐに生きる姿がいい。“小賢しい人間が、自らと他者をごまかしながら生きていくしかないように、不器用な人間は、ただ実直に生きるしかない。”ヒロインの不器用さを面白がる作品ではなく、真っ直ぐにしか生きられない彼女の姿に心を温められる作品なのだ。

ノーマ・レイ』  (監督:マーチン・リット ’79)
何も考えないで毎日を暮らしている女工員がヒロインだ。彼女が労働組合の活動家に出会い、勤務先の紡績会社に組合を作ろうと努力する物語だが、その物語がメインの映画ではない。彼女が考える事を通して成長していく様子を見せる映画だ。演じるサリー・フィールドが素晴らしい。特に、子どもを集めて決意を語る場面は見事だ。

ぼくの美しい人だから』  (監督:ルイス・マンドーキ ’90)
いわゆる世間の物差しで見たら、年齢・育ち・学歴・仕事・収入‥‥と、すべてが不釣合いな男女の恋愛物語。スーザン・サランドン演じる中年のヒロインの、一本筋の通った生き方が清々しい。“世の中には、物欲しげな眼差しをして生きている人達の醜さと、清々しく生きる人の美しさが共存している”のだ。

 

 

 

 

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