『こどものためにあいうえお』発刊のごあいさつ

 

昨年、佐世保市で小6女児がクラスメイトを殺害した時、遠くで起こった事件だとは思えませんでした。今年は、隣接する寝屋川市で17才の少年が、出身小学校の先生と調理師を殺傷しました。いつか枚方市でも、と心配していたら、先日中1男子が母親を暴行死させました。そして今月にも、東京都町田市で高1男子が同学年の知り合いの女子高生を刺殺するという事件を起こしました。     

多くの子どもの事件(子どもが加害者だったり被害者だったりする事件)がいろんな所で起きています。遠いとか近いとか、知らない子だとか知っている子だとか、自分の子どもに係わりがないとか、そんなことで真剣に考えなかったり、安心したりしていてはいけないのだと思います。

 そのように考えていたから、昨年の夏、佐世保市教育委員会へ『愛することと優しさについて』を40冊寄贈し、活用をお願いしました。寄贈については、子どもの事件が起きた他の自治体や学校などにも行ってきました。事件の事後処理と同時に、周りのすべての大人が愛することと優しさについてきちんと考え、それを身につけながら子どもを育てていかなければと思ったのです。

 こんな思いを広げて、この度『こどものためにあいうえお』という本を作りました。大人が子どもにひらがなを教えながら、自分の経験や考えを話したり子どもの発言を聞くことを通して、もう一度人間として大切なことを、子どもと一緒に身に付けていくための本です。『愛することと優しさについて』は、人生の道筋で迷ったときや困ったときに、道案内をしたり解決のヒントを与えてくれる本になると思っています。それに対して、『こどものためにあいうえお』は、生き方の基本を学ぶための本です。僕は、ここから始めないと、子どもが加害者や被害者になる事件は無くならない、と思ったのです。

 ぜひご一読ください。そして、この本を『愛することと優しさについて』と併せてご活用くださるようお願いします。

2005.11.17

髙木いさお

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