2007年3月

 

某日>  『みなさん、さようなら』という2003年の映画を観た。死期の迫った大学教授が、「本を書けばよかった」と看護してくれている女性に言うのだ。論文をいくつか書いただけの彼は、「書物に足跡を残したかった」と言った。作り過ぎのストーリーの映画だったが、この場面は考えさせられた。一冊分の量を書くのは大変だ。だが、それを一冊の本にするのは、それに負けないくらい大変だ。ここでいう一冊とは、近年よく見る、1篇または数篇の詩を沢山のキレイな写真と合わせて一冊の本にした“お手軽本”のことではない。心血を注いで作る本のことだ。そんな本を、この3年半に僕は4冊出版した。初めの1冊は絶版にしたから、現在は3冊の本が売られている。若い時から、死ぬまでに1冊は本を出そう、と思っていたが、いつの間にか3冊になり、この夏には4冊になる。45年近く詩を書いてきたから、4冊が多いとは言えないかも知れないが、僕としてはいろんな方に感謝しながら幸せを感じている。

 

 

某日> 後援会「詩を読み考え語る会」のAちゃん19歳と映画『ステップ・アップ』を観に行った。ミナミの街を手をつないで、映画、焼肉昼食、高島屋と歩き回った。映画は中高生向きの3点(7点満点の)映画だったがダンスシーンなどが楽しめた。僕は手をつないで歩くのが大好きだ。息子(17歳)が嫌がらなかったら、彼とも手をつないで歩くかも知れない。彼が小学5年生の時に、「お父さん、友だちが居るときは手をつながんといてね」と言われた時の悲しさは、今でも思い出したら泣きそうになるくらいだから、とても大きなものだった。だからという訳ではないが、Aちゃんが嬉しそうに手をつないでくれるのは、幸せ以外の何物でもない。

 

某日> 息子がクラブの合宿で居ないから、それに合わせて添人とホテルで一泊を楽しむことにした。一度はしたいと思っていた、スウィートルーム宿泊と部屋での夕食を一度に実現したのだ。広さは75㎡で、そのホテルではジュニアスウィートということらしいが、広い広い部屋だった。L字形の広いガラスを通して大阪港が広く広く見えた。料理は、夜、朝ももう一つだったが、広い美しい部屋を添人が喜んでいたから、本当に行って良かった。でも、帰る途中に「こんな部屋はもう泊まらなくてもいいね。半分の部屋で2泊する方が僕はいいよ」と言っていた。

 

 

某日> 地元のFMへ3度目の出演をした。と言っても今回は、生出演ではなく録音出演にしていただいた。この一年、毎週水曜日に『こどものためにあいうえお』からの一文を放送してもらったので、その締めくくりとしての出演だった。本来はサテライトスタジオで、ガラスの向こうにリスナーが居る状態での出演になるのだが、「詩が多くの方に届くのは喜びですが、僕の顔が多くの方に知られるのは苦痛なので、テレビ出演の依頼も、新聞での顔写真も、すべてお断りしています」という理由を受け入れていただいた。18分くらいの出演だったが、『こどものためにあいうえお』の話を上手に引き出してもらったので、出て良かった、と思った。

 

 

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